学校の先生になろうと思う人の中には、
「素敵な先生との出会いの経験があって、自分もその先生みたいになりたい!」
というパターンが少なくないように思います。
もちろんそれだけが理由ではありませんが。
ちなみに僕は完全にそのパターンにあてはまり、人生の節目節目に素敵な先生に出会えたことが、教職を目指すきっかけになりました。
今でも記憶にしっかり残っている先生が何人かいますが、高校2、3年生の時に担任をしてくださった先生もその中の一人。
直接お伝えしたことはありませんが、恩師とも言える人です。
普段はもごもご喋っていて、時々オヤジギャグやよくわからない冗談もぶっこんでくる。そこらへんにいるおっちゃんという感じのその先生。年齢は五十歳前後でしたか。
高校生だった当時は、正直あまりパッとしないイメージの先生だったのですが、ある事がきっかけでそのイメージがガラッと変わりました。
それは僕が高校を卒業した直後。志望した大学に無事に合格した時のこと。
僕が「合格しました」と報告に行くと開口一番に、
恩「正直に言うと、竹中は絶対受からんと思っていた。部活ばっかり頑張って、受験生という自覚があるかもわからないし、ただでさえ合格が難しい状況に、更に志望のランクを上げるとか…なんて無謀なことを言うのかと思っていたよ。」
ということを能登弁バリバリ全開で言われました。
竹「(え?どういうこと!?合格の報告ですよ?)」
完全にキョトンです。なんなら少しイラッとしたのもまた事実。それでも話は続きます。
恩「でも、『無理だ、やめておけ』と言ったらお前のことだ。へそを曲げてもっとやらなくなるだろう。最後はお前のやろうとする気持ちに任せるしかなかった。」
そして最後に、
恩「本当によく頑張ったな。」
と。
当時の僕は遅れてやってきた中二病っぽいっところもあり、ああ言えばこう言う、こう言えばああ言うめんどくさい奴でした。
先生はそんな僕の性格をよく理解していて、その気にさせる伝え方、接し方をしてくれていたわけです。
誰にでも当たり障りのない、通り一遍の言い方をするのではなく、人を見て伝わる伝え方をしてくれていた事にその時気づきました。
もしかしたら、自分が教員になったからこそ、その先生の良さがわかるようになったのかもしれませんね。
つい昨日、高校の時の友人から、その先生がお亡くなりになられたとの知らせを受けました。
残念ながら今の気持ちは、この先もずっと伝えることができなくなりましたが、教員として大切なことを教えてもらったように思います。
太佐先生。
心よりご冥福をお祈りいたします。